Mercedes‐Benz 300SL Gullwing

お仕事や制作過程

情報誌連載用イラスト 『Mercedes‐Benz 300SL Gullwing』2021年1月作成

 昨年末取材と気分転換を兼ねてトヨタ博物館へ行ってきました。かなり久しぶりでしたが何度訪れても車好きにはたまらない聖地ですね。平日だったので来館者は僕を含めて数人で、フロアーには一人きりという好機にじゃんじゃん写真を撮ったら殆どぶれてました…。(興奮しすぎたw)やっぱりスマホじゃなくて一眼欲しいなぁ。そして撮影は落ち着かなくては。

 さて、300SLを描くにあたってネットや手元の資料を調べると思ったより生産台数は1400台と多かったんですね。もっと少ないんだと思っていました。元々市販する目的で設計されていないシャシーが原因でガルウイングとなった300SLを購入したお金持ちは、豪華な内装や優雅なスタイルに似合わない過酷なドライブ環境を体験したといいます。エアコンなど当然なかった時代ですし、室内に籠った熱を逃がすリアのエアベントは期待するほど機能しなかったそうです。最大の特徴のガルウイングの使い勝手は日常的ではなく、純粋なレースカーの血統は素人が扱うには時に危険だったとも言います。(高速時のハンドリングがクイック過ぎたという資料もあります)とは言え名門メルセデスです。名車としての評価は実車を目の当たりにすると、その尊さに言葉を失います。しかし、どうやってあの遥か奥にあるシートに身を沈められるのか分かりません。運動不足で固くなった僕の体ではどうやっても無理そうだなぁ…。そういえば、若い頃に収集したミニカーの殆どは子供に破壊されてしまったけれど、執念で当てた食玩の300SLのレースカーだけは必死に隠していまだに手元にあります。

 今回の制作では車の部分アップをやってみたいと考えていたので思い切って片目だけにしてみました。写実的に描くだけではなくて試したいイメージもあったのですけれど、完成の感じが明確になっていなかった事と大好きなメッキを描く楽しさに負けてしまいました。アクリルブラシじゃなくて色鉛筆で描いたら違った仕上がりに出来たかも知れません。ま、それは次の機会に。毎月のレギュラーの連載は15年に入りましたが、ありがたい事に編集部からの指示というものは殆どなくこれまで自由気ままに続ける事が出来ていました。毎月必ず描くものがあるというのは本当にありがたいものです。そういう機会がなければわざわざ環境を整えてまで制作することもなかったかも知れません。こうして連載を通じて自分の試したい事が自由に出来るうちに色々描いてみたいです。なにしろまだ描いた事のない車は山ほどありますからねぇ。

 

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