『HONDA 1300COUPE 9S』

お仕事や制作過程

情報誌『リバ』連載用イラスト 2021年6月制作 COREL Painter12使用

 どうも、アサイです。

 実は若い頃、専門学校で工業デザインを学んだ事がありまして。開校したばかりの学校で、デザインの一通りの流れや考え方を教わりました。当時はデザインに関する情報が一般に浸透しておらず、様々なイベントなどを通じて『デザインとは』などという事を発信していましたね(名古屋デザイン博なんてのもあったな)。勿論、僕だって何も分かってなかったですとも。ただ絵を描くのが好きな、アニメと漫画好きだった僕が実習などを通して知ったのは、デザインとは感覚ではなく、理由と価値のある提案を軸に行うものだという事でした。

 ちょっと難し気な入りになっちゃいました。今回、連載用に描いたのは、70年にHONDAが発売した『1300クーペ 9S』です。資料にした写真では、純正でついているべきものがなかったりしたので、もしかしたら1キャブの『7』だったのかも知れないのですが。中々、探しても情報の多くない車だけに、手元の年鑑やネットでの断片的な情報を元にしなくてはならなかったのが辛い所でした。

 1300クーペを端的に説明すると、ホンダ最初の小型乗用車だとか最後の空冷エンジン搭載車という事になるのでしょうか。開発に関しては本田宗一郎の信念と若手技術者の対立やら、独創的なアイデアに基づくこだわりの機能について。当時の2ℓクラスを超える高性能などなど。魅力的なお話が出てきて楽しいです。しかし、9Sに先立って69年に発売された77/99は、信頼と成功を収める事は出来ず、2ドアモデルとしての7/9で、ようやく全体的なバランスが改められたようです。HONDAはこの後、空冷エンジンから水冷エンジンの採用へと進み、宗一郎氏は引退をされたという事実を見ると、失敗してしまった悲しい車みたいに感じてしましそうです…。

 しかし、見て下さい。この美しい顔付き‼小型でありながらも品のある佇まいをしているじゃありませんか。結果的に商業的な成功とならなくても、これを世に出した時点ではやり切った感はあった筈ですよ。その後、1300クーペの結果を踏まえてホンダは時代を切り開いて行ったのです。初めてこの車を描きながら、そんな事を思いました。

 最後に、現存する個体は少ないようですが。なかなかに癖の強そうな1300クーペですが、実際はどうだったのでしょう?もしも体験したことのある方がいらっしゃったら、ぜひ教えて頂きたいです。

ではでは。

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